0. はじめに

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はじめに

多くのブランド理論においては、販売が好調な企業や商品の銘柄がブランドとされ、高シェアや高収益などといった好調の様相がブランドの効用であり、知覚品質の高さが好調の要因であれば知覚品質がブランドの効用を生み出すものとして理論が構築されている。このように、ブランドがなぜブランドとして存在し得るのか、という考察なしに帰納的に理論を構築しようとするため、その文脈には知名率や信頼、愛着といったブランドを説明する言葉が乱立することになり、そのことがブランドの理解を困難にさせている。

ブランド力のある商品が高価格で販売できたり、特定の銘柄(ブランド)が長年にわたって販売首位の座を維持していたりすることは確かである。しかし、ブランドの理解において強調されるべきは「ブランドがあればトップシェアを獲得できる」ということや「ブランドがあれば高価格で販売することができる」ということではなく、なぜ消費者の評価に影響を与え得るのか、であり、ブランドに影響される消費者の特徴である。

本論文においては、なぜブランドイメージが消費者の意志決定に影響を与えるのか、というブランドの存在基盤を考察することによってブランドの解明を試みる。

本論文の構成は次の通りである。第1章においては、存在基盤の分析を通じてブランドの理解を試み、存在基盤と結びつけたブランド概念を提示する。第2章においては、ブランドが消費者の購入意志決定に与える影響をブランドの存在基盤から考察し、第3章においては、ブランドと企業経営あるべき関係について考察する。

  1. 1. ブランドとは?→